
ミライステラスの想い
故郷の美しい棚田は、私たちが小さい頃心を和ませてくれました。それは私たちの日常の風景であり、日本の歴史と文化の象徴でした。しかし、時間とともにその美しい風景は失われつつあります。過去20年間で全国の棚田の30%が失われてしまいました。
私たちはその心に残る風景を、未来の子供たちにも残したい。その一心から「ミライステラス」を立ち上げました。名前は、未来(ミライ)と棚田(ライステラス)を組み合わせたものです。
私たちの願いは、この大切な風景と文化を未来へと繋げていくことです。そして、この想いに共感し私たちと一緒に棚田を未来に繋ぐ活動に参加してくれる仲間が増えていくことを願っています。
「この棚田を後世に残したい」それが私たちの原動力です

1. 活動のきっかけ
私たちが活動する佐世保市鹿町町の口ノ里棚田は、高齢化という深刻な課題を抱える地域です。
2014年、地域の方々から「ここもあと10年もすればなくなる」という言葉を聞いたことが、私たちが活動を始めるきっかけでした。
その言葉に動かされ、私たちは棚田を守り、未来に繋ぐ活動をスタートしました。

2. 地域の現状と課題
当時、地域の平均年齢は63歳でしたが、2024年現在では73歳になり、高齢化が進む中で、毎年誰かが「今年で稲作を終わりにする」と田んぼを手放してしまいます。
この地域だけでも、毎年3000㎡以上の田んぼが耕作放棄地となり、美しい棚田の景色が消え続けています。
誰かが耕作を続けたくても、高齢化が進む中ではこれ以上耕作面積を増やせず、何もしなければ荒れていくのをただ眺めるしかありません。
あとさらに10年もすれば、この棚田もなくなってしまうかもしれません。

3. ブランド化への挑戦
私たちが活動を始めた時、「どうすればこの棚田を残せるのか?」を考えた結果、最高に美味しい棚田米を作り、それをブランド化することで、この棚田を多くの人に知ってもらい、残せるのではないかと考えました。
まず取り掛かったのが土作りです。棚田は寒暖差と湧水があり、さらにこの口ノ里棚田は平戸湾に面した場所に位置するため、海風に乗ったミネラルがよりお米を美味しくしてくれる地域でした。そこにさらに美味しく育てるため、土作りに本腰を入れました。
肥料も自分たちで作り、適切な量を田んぼに撒いて土壌を改善しました。そして、生態系を守り環境に優しい農業を目指すため、基本的に農薬を使わない栽培方法を採用しました。収穫後も、お米の香りと甘さを引き立てるために掛け干しにこだわりました。
こうして3年がかりで、ようやく納得のいくお米を作ることができ、ブランド名「九十九雫」として販売を開始しました。「九十九雫」は非常に好評で、一般価格の5倍以上の単価でも売れるほどでした。しかし、とても手間のかかる方法で、ほぼ無農薬栽培のため収穫量は通常の1/3以下にとどまり、収益も安定しませんでした。

4. 直面した課題
私たちの考えは甘かったのです。ブランド化してお米を知ってもらえても、本来の目的である「この棚田を後世に残す」ことは達成できませんでした。
なぜなら、活動しているのは私たちだけで、ブランド化して収益が上がったとしても、この棚田で生産できる最大収穫量と手間をかけた分の収益が釣り合わないからです。さらに、収穫量や人件費、機械の維持費を考えると、現代の市場の中では成り立たないのが現実でした。
そして、何よりも私たち自身がいずれいなくなった後、この活動を引き継ぐ人がいないという課題を痛感しました。

5. 次の一歩:棚田コミュニティ2.0
そこで私たちは考えました。「私たちがいなくなった後も、この棚田が後世に残る仕組みとはどのようなものなのか?ただ収益を上げたり、多くの人に知ってもらうだけでは足りない。何をすべきなのか?」
棚田は農作物を生産する場であると同時に、先人たちの知恵と情熱、そして長い歴史が刻まれた文化そのものです。この文化や景観を併せて後世に残さなければ、「棚田を後世に繋げる」ことにはならないと考えました。
この答えとして、棚田の歴史が生まれた背景には、人々が関わり続けることで形成された独自の文化やコミュニティ、生態系、地域の繋がりがありました。この棚田コミュニティを現代版にアレンジし、「棚田コミュニティ2.0」として再構築することを目指しました。
6. 棚田コミュニティ2.0の展望
「棚田コミュニティ2.0」という取り組みを通じて、地域住民だけでなく訪問者や参加者も巻き込み、多様な人々が関わることで、棚田をより豊かなものにする活動を進めています。私たちの使命は、ただ棚田を保存するだけでなく、時代に合わせた新しい棚田コミュニティを作り上げ、「この棚田を後世に繋げる」目的を達成することです。
この取り組みはすでにミライステラスのある口ノ里棚田で成果を上げつつあります。離農を考えていた地域の人々から棚田を託されるようになり、その信頼を大切にしながら、さらなる循環とコミュニティを築いています。そして、現代の技術を駆使してネットワークを拡大し、全国の棚田にも広げていきたいと考えています。
私たちの活動はまだ小さいですが、いずれ仲間が増え、耕作放棄地を再生したいと考えています。そして、棚田の美しい景色と文化を後世に繋げていきたいのです。
今、私たちは一緒に棚田の未来を築いてくれる仲間を探しています。最終的には、この活動が日本全国の棚田に広がり、すべての棚田が新しい息吹で輝くことを夢見ています。

活動写真
〜ミライステラスでの活動の様子をちょっとだけご紹介〜
農業研修会
たけのこ掘り
蜂蜜取り
収穫体験
泥リンピック
かまどで炊飯
企業理念
〜人と自然の調和のとれた世界を創る〜
私たちミライステラスが掲げる使命は、「人と自然の調和のとれた世界」を創出することです。日本の長い歴史の中で、私たちは常に自然とともに暮らしてきました。ところが、経済の急成長に伴い、森林の伐採や水質の汚染などの環境問題が増えてきました。この現状を鑑みて、令和の時代には、人と自然が共生する豊かな暮らしを再び取り戻すことが求められています。
私たちは、棚田を中心に「土からの収穫、食べる喜び、そしてその後の循環」の完全な自然サイクルを体験できるプログラムを提供しています。この活動を通じて、棚田の関係人口を増やし、人と自然が調和し共生する新しい世界の実現を目指しています。私たちの「自給自足のシェアリングエコノミー」やこれからの取り組みは、棚田のコミュニティと、その豊かな自然を次世代にも継承するためのものです。私たちは、真の意味で人と自然が共生する未来を目指して取り組んでいます。
会社概要
会社名 | 株式会社ミライステラス( MIRAI s TERRACE ) |
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代表者 | 代表取締役 社長 前田 晴郎 |
本社所在地 | 〒859-6203長崎県佐世保市鹿町町口ノ里491番地1 |
活動開始 | 2014年(平成26年)10月14日 |
設立 | 2022年(令和4年)3月28日 |
事業内容 | 自給自足のシェアリングエコノミー 農作物加工品の販売 |