過去の届いたメニュ―例(2023年11月)
このメニュー例は、過去にお届けした商品ラインナップです。
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花房和牛シリーズ
スープ
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パスタソース・ペンネ
グラタン・リゾット・キッシュ
その他お惣菜
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デザート類
ミラテラ☆kitchenブログ 〜Kitchen_Studio_N〜
自己紹介⑥和牛の評価基準に対する疑問編。
さて。和牛に対して一般的には「A5ランク」というものが絶対王者の如く君臨しています。もうそろそろメッキが剥がれつつある評価なので「食のリテラシー」が高い人はとっくに卒業しています。
A5ランクに「美味しさ評価」が1つも無い件について。
そもそもA5の「A」とは歩留等級の事で「どれだけ効率的にお肉になりましたか?」という基準です。味は関係ないですね。ちなみにA5の「5」は「肉質等級」の事です。ぱっと見、味を評価してそうですよね?しかし内容としては
脂肪交雑
脂肪の色沢と質
牛肉の締まりとキメ
牛肉の色沢
です。
勘がいい人は気付きますよね?
味の評価が1つもない事に。味の評価である官能検査が無いんですよね。
締まりとキメは分かるんですよ。それ以外は、特に霜降りを求めなければ脂肪交雑も関係なくなります。
テレビ等でよく「お肉がとろける〜」って言うじゃないですか?
お肉は溶けませんよ。溶けてるのは脂肪です。
霜降り和牛は部位によっては体脂肪率50%を超えます。これは「ジューシー」では無く「オイリー」なのです。◯ oily ✖️juicy
そもそも体液や血液を「juice」と呼びます。この中に水溶性アミノ酸が豊富に含まれ、これが旨味の正体です。一方、脂肪に水溶性アミノ酸は含まれていません。なんせ脂肪ですからね。逆に言うと、霜降り肉の半分は「旨味が無い」状態というわけです。
動物の肉は月齢と共に味が濃くなっていく。
さらに日本のモノサシの不都合が出てくるのですが、動物の肉は月齢が高まるにつれミオグロビンが増加し、乳酸も増加し旨味に変わります。日本の牛肉、特にA5ランクは月齢28〜30ヶ月で出荷がマストです。月齢が規格を超えると評価対象から外れます。しかしながら牛の30ヶ月は仔牛と成牛の間。しかもお産をする事で風味が深くなり脂肪融点が下がる事で海外では最高評価が付くのに、日本では価格が付かなくなるので未経産で出荷します。
つまり日本は最高に美味しい牛肉の真逆が一番高い評価と価格がつき、ご馳走として食べている事になります。
その代わり・・・
硬くなります。「加齢による硬質化」と言います。これを上手く焼くのが料理人のスキル次第なんです。一般家庭に普及しない大きな理由はそこなのです。なんせ筋肉ですからね。
しかしながら私は霜降り和牛を全否定しません。
その旨を次回、解説しますね。
自己紹介⑤花房和牛編
さて。この辺からが本番と言いますか、「経験が人を作る」と言いますかなんと言いますか。その日からアレコレ長崎の良い食材を探す事になるのですが、友人の精肉店のT氏がある日「よか牛のおるみたいばい?」とネットを差し出してきました。正直、ネットに書いていることだけでは分からないんですよね。その時は私はフード左翼というべき存在になりつつありまして、(現在は中庸ですw)「無農薬とかオーガニックとか在来種とか完全放牧とか赤牛とか短角牛とかグラスフェッドとか良いな..」とか思ってたんですよね。ついでに色々見て回りたい旨を伝え、T氏に案内してもらい解体工場や牧場や畜産試験場に訪問して色々お話を伺ったり、なかなか見る事ができない現場を見させて頂きました。これも自分の脳裏に未だに焼き付いて離れない光景ばかりです。その中でも花房牧場は他の所とは全く違う取り組みをされていたんです。長崎では本当に珍しい「循環型農業」を実践されていました。周りの米農家さんと連携して稲藁を集め敷き材にしたり、九州さんの豆腐粕や大豆粕を自家製配合飼料にして与え、水道水ではなく名水100選の島原の湧水をポンプアップして与え、飼育環境は牛舎は普通の2倍以上のスペースで風通しも良く、掃除を徹底している為、抗生物質ゼロを実現していました。言葉は簡単ですが、抗生物質ゼロはかなりハードルが高い事です。普通無理なんですけど掃除の徹底でされるのはお人柄だと思います。さらに母牛はお産が終わるとリフレッシュ期間の為に放牧します。味噌を置いて「じゃっ!」という感じですw南島原は傾斜が多く、たまにいなくなるとかならないとか…
前回の記事を読んだ方はもうお気付きですね?
食べ物・飲水・運動量・ストレスレベルをクリアしています。血統・系統も母牛は良いんです。
しかもポイントは「経産牛」という所です。
経産牛とは?
文字通り「お産をした牛」の事です。普通はお産をして、産むだけ産んだら後はミンチになったりペットフードになったりします。廃牛扱いなので値段が付かないんですよね。なので普通「経産牛」というのは業界では嫌がられます。「臭い」「固い」「脂が黄色い」と言われ、評価の対象にもなりません。(逆に「未経産牛」だけがA5ランクになれ、有り難がられます。)でも、それって本当に良いんですかね?なんかモヤモヤしません?生産者の綾部さんは「産ませるだけ産ませて、そいはなかよなぁ。」と思い、新しく付加価値をつけようとした長崎では初の経産牛パイオニアです。最先端過ぎて周りが付いていけないんです。10年経った今、経産牛が注目を集めてきたのでヤットコサです。
経産牛のスペック
旧来の一般論では
臭い
固い
脂が黄色い
なのですが、実際私が焼いたり煮たりした花房和牛は全然違いました。初めてオーブンに入れた時の、あのコーン臭い和牛臭が無く、とても香ばしい「これが本物の牛の香りか!」と瞳孔が開くような、世界観が変わる感覚を今でもハッキリ覚えています。
脂身は白く、香ばしく、焼き方を間違わなければ柔らかく、何度でもリピートする味わい。最終的には長崎という日本の西の果てに、北海道から飛行機で食べに来る人もいました。「圧倒的」とはこの事です。
そもそも論として「肉の旨味」に対して日本は評価がおかしいのです。
今回は長くなりましたので日本の和牛の評価については次に説明します。
自己紹介④
これまでの経験で、「生き物」は環境や食生活で個体差が大きく出る事が分かりました。人間も如実に現れます。僕は「食べ物」「飲み物」「運動量」「ストレスレベル」最後に「血統・系統」だと思っています。先ほどのゲージに入れられていた合鴨達は排泄物まみれでした。動物は本能的に自分の排泄物からは距離を置こうとします。その意味ではストレスは相当だったのでは無いでしょうか?
逆に全ての条件を満たすと味が最高に良くなります。もはや食べなくても分かるのです。
客観的にどれぐらい美味しいのか?いくら自分で「美味しい美味しい」と言っても分かってもらえません。「モノサシが欲しいな〜」と思っていた所に同期のシェフから連絡があり、一緒に食材探しのツアーをテレビ局も一緒に行く事になりました。
同期のシェフは国内の某レストランに入店して1つ星の獲得に貢献(現在は2つ星に昇格)した後、フランスニースをはじめ星付きから新進気鋭の立ち上げでセクションシェフや欧州を廻って帰国。古巣の仲間達と虎ノ門ヒルズに出店の機に連絡がありました。
そして実際に長崎に来て一緒に合鴨を見て回り、東京で試食してもらい、「美味いね!」とコメントを頂くレベルでした。(銀座のお師匠さんにも美味しいと評価を受けました。)
そして「で、いくらするの?」
私「〇〇円です」
「それは無理だね…」
即答でした。そう。「ちゃんとした食べ物は、高くなる」という事を身を以て体験した瞬間でした。
きちんとした環境で、きちんとした餌で、きちんと広々とした所で運動して、きちんと生きた動物は高くなり過ぎるのです。
銀座ですら出せないんですよ。「ちょっと待って!じゃ、高級レストランで出してる鴨って一体どんな鴨なのさ!?」「あー、それはね、K鴨とか有名で美味しいって評判で有名シェフ達が使ってるんだけどさ、実際見に行ったら臭くて近づけなかったよね。」という言葉が出てくるんですよ。話を聞いたら合鴨の6倍ぐらい大きくなる様で、それは流石に価格も落ちますよ。
裏側を知っている自分ならハッキリ食べたく無いと言えます。できれば使いたく無いとも思います。しかしながら利益を出さなければいけないレストランでは、使わざるを得ないのです。お客さんが「美味しい」と満足して、料理評論家達が太鼓判を押していくならそれで問題無いのです。逆にどんなに良い条件下で育てようと、利益が出ない、消費者の需要を超えた価格帯になると売れなくなって立ち行かなくなるのです。その現実を目の当たりにしたのは28〜29歳の頃でした。この現状を知り、すぐに出会うのが「花房和牛」でした。
自己紹介③
合鴨ちゃん達は無事(?)に田んぼから隔離され、肥育に入る事になりました。が、そこで問題発生。予定している肥育場には半分の数しか入れないことが発覚し、急遽残り半分は別の肥育場に運ばれていきました。
後々。これが色んな意味でターニングポイントになるとは思ってもいませんでした。
数週間後、肥育場を見学に行ったのですが、凄まじい光景を見る事になります。
片方は無農薬の山で縦横無尽に駆け回り、湧水と良い餌を食べてのびのびと過ごす合鴨達。
もう片方はゲージにギュウギュウに詰められ身動きできず、排泄物まみれになり、スーパーの残飯を与えて育てられる合鴨達。悪臭が酷く、近寄るのも躊躇うほどでした。
ちょっとショッキング過ぎて脳裏に焼き付いています。
農家のおっちゃんは「俺らも忙しいからねー」と言いながらタバコを吸っていました。未だにモヤモヤします。
そんな状況を見て数ヶ月後。
ついに屠殺が終わり、「肉」となった合鴨ちゃん達が搬入される事になりました。
厨房のキャパの都合上、半分しか受け入れられない為、野山を駆け回った方をお願いしていました。しかし何かの手違いで段ボールが二箱到着。どちらも来たんですよね。その時は「ああ〜、困ったな。まぁ勉強の為に見ておこうかな。」と、軽いノリでダンボールから出してみると愕然としました。
放し飼いの方は張りがある、美しい肌色のキュッキュッとした感じの、全く臭みが無い完璧なコンディションでした。そしてゲージに入れられていた方は…見るも無惨な状態でした。肌は所々緑色、手で触れるとヌルヌルし、悪臭を放っていました。試しに少し焼いてみると厨房中が臭くなり、堪らず捨ててしまいました。
その後は大量に捌いて施策を作っていったので記憶が薄いですが、あの2つの対比は今でも鮮明に覚えています。
この事をきっかけとして、動物の環境や食事が与える影響に興味を持つ様になりました。
自己紹介②
自己紹介②
ひょんなことから合鴨農法の現場を視察になり、人生初のフィールドワーク。現場でされていらっしゃる方々はエネルギッシュで精力的でした。生まれて初めて見る生産の現場。青々と茂る苗と、走り回る合鴨達。無農薬のブルーベリーや非加熱の百花蜜。全てが新鮮でしたね。合鴨ちゃん達は段ボールに雛の状態で運ばれて来ます。クロネコヤマトが雛を配達する絵面は中々にシュールです。その雛達は水を掛けながら徐々に慣らし、数日かけて田んぼへと放たれます。この合鴨ちゃん達が何とも可愛いんですよ。人間になれる頃には合鴨ちゃん達は呼んだらダッシュでバシャバシャと走って来ます。マジでキュート。この合鴨ちゃん達が虫を食べ、走り回って水中の泥を舞い上げることで太陽光が遮られ、雑草が光合成できなくなり草が生えなくなります。排泄物は田んぼの有機資材となりお米の栄養になります。とても合理的なんです。しかし合鴨ちゃん達はあっという間に大きくなります。そしたら今度はお米を食べ始めちゃうんですよ。なので稲穂が垂れる頃には引き上げられます。
一般的なイメージでは2年目も3年目もベテランとして活躍すると思うでしょ?普通は10年以上は生きるんですよ。でも米を食べてしまう。しかも人間の都合で合鴨は生まれてきます。なので自然に放ってはいけないのです。従って、食肉になるわけです。
残念に感じるかもしれません。私も未だにモヤモヤします。しかし、現実なんですよね。この合鴨ちゃん達を「捕まえよう」として餌をあげる時と同じ様に呼ぶんですが、何故か逃げるんです。勘が良いんでしょうね。凄まじい勢いで逃げ出します。
あれには私もビックリしました。なんせ潜って逃げ切ろうとする合鴨まで出て来ますから。人間も合鴨も命を懸けた戦いを繰り広げるのです。合鴨農法、恐るべし。
しかしながら合鴨ちゃん達はすぐには食べません。個体が小さすぎてお肉になりません。そりゃ毎日外で走り回って変な餌もなく元気いっぱいに過ごしたら筋肉しかないですからね。
そこから数ヶ月、体格が大きくなるまで肥育していくのです。
自己紹介①
初めまして。久保田太一と申します。自分は長崎市内にあったロシア料理専門店レストランハルビンというお店の3代目です。創業60年の節目に実店舗を閉じ、色々見て回る事にしました。
元々は高校を卒業し、東京の調理師専門学校に進み、いくつかのホテルのレストランや街場の現場を経験して長崎に戻ってきました。
それから実家のお店に入りホールから料理長まで経験するのですが、私が一番興味を惹いたのは「野菜」と「肉」でした。
最初に野菜では「種」や「無農薬」「自然農法」というワードに出逢います。「食」の分野でも言語やスキルや世界が、「調理の現場」と「生産の現場」では全然違うんです。現場で一体何が起きているのか?聞く人によって答えもまるで違う。タネの話も農薬の話も全然違う。一体どうすりゃいいの??そんなことを思っていた時に「無農薬の山があって、そこで合鴨農法をやっているんだけど、レシピ開発をやってみない?」というお誘いを受けました。合鴨農法のビジネスモデルは「お米と鴨が売れて初めてトントンだが、合鴨は普通お肉屋さんに置いていない。なので加工して食べ易いレシピを開発して販路を開きたい」との事でした。自分はずっと引きこもって仕事をしていたので初めてフィールドワークをした瞬間でした。
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