さて。
和牛に対して一般的には「A5ランク」というものが絶対王者の如く君臨しています。
もうそろそろメッキが剥がれつつある評価なので「食のリテラシー」が高い人はとっくに卒業しています。
A5ランクに「美味しさ評価」が1つも無い件について。
そもそもA5の「A」とは歩留等級の事で
「どれだけ効率的にお肉になりましたか?」
という基準です。
味は関係ないですね。
ちなみにA5の「5」は「肉質等級」の事です。
ぱっと見、味を評価してそうですよね?
しかし内容としては
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脂肪交雑
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脂肪の色沢と質
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牛肉の締まりとキメ
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牛肉の色沢
です。
勘がいい人は気付きますよね?
味の評価が1つもない事に。
味の評価である官能検査が無いんですよね。
締まりとキメは分かるんですよ。
それ以外は、特に霜降りを求めなければ脂肪交雑も関係なくなります。
テレビ等でよく「お肉がとろける〜」って言うじゃないですか?
お肉は溶けませんよ。
溶けてるのは脂肪です。
霜降り和牛は部位によっては体脂肪率50%を超えます。
これは「ジューシー」では無く「オイリー」なのです。
◯ oily ✖️juicy
そもそも体液や血液を「juice」と呼びます。
この中に水溶性アミノ酸が豊富に含まれ、これが旨味の正体です。
一方、脂肪に水溶性アミノ酸は含まれていません。
なんせ脂肪ですからね。
逆に言うと、霜降り肉の半分は「旨味が無い」状態というわけです。
動物の肉は月齢と共に味が濃くなっていく。
さらに日本のモノサシの不都合が出てくるのですが、動物の肉は月齢が高まるにつれミオグロビンが増加し、乳酸も増加し旨味に変わります。
日本の牛肉、特にA5ランクは月齢28〜30ヶ月で出荷がマストです。
月齢が規格を超えると評価対象から外れます。
しかしながら牛の30ヶ月は仔牛と成牛の間。
しかもお産をする事で風味が深くなり脂肪融点が下がる事で海外では最高評価が付くのに、日本では価格が付かなくなるので未経産で出荷します。
つまり日本は最高に美味しい牛肉の真逆が一番高い評価と価格がつき、ご馳走として食べている事になります。
その代わり・・・
硬くなります。
「加齢による硬質化」と言います。
これを上手く焼くのが料理人のスキル次第なんです。
一般家庭に普及しない大きな理由はそこなのです。
なんせ筋肉ですからね。
しかしながら私は霜降り和牛を全否定しません。
その旨を次回、解説しますね。